國學院大學短歌研究会

國學院大學短歌研究会(こくたん)です。活動情報についてお知らせします。

國學院短歌 学祭特別号『真空 Vol.3』発行のお知らせ

【通販のお知らせ(12月10日更新)】
若木祭/文学フリマ東京で頒布した『真空 Vol.3』の通販を行います。
1冊につき、送料など込みで600円をいただきます。
ご購入を希望される方は、当会TwitterのDM、または当会のメールアドレス(kokugakuintanka@yahoo.co.jp)まで、ご連絡ください。

 

 

 

 

 

ひどく曖昧な季節の変わり目ですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

さて、この度國學院大學短歌研究会では2018年以来の会誌『真空 Vol.3』を、若木祭と文学フリマ東京にて頒布することとなりました。

総勢15名の会員が参加し、たいへん読み応えのある一冊となっています。ぜひともお手に取っていただきたいです。

それぞれの詳細と会誌の概要を以下に記載しますのでご確認ください。

 

若木

 

≪場所≫

國學院大學 渋谷キャンパス 100周年記念講堂前

 

≪日時≫

11月4日(土)・5日(日)・6日(月) 10:00〜17:00

当日分が無くなり次第終了となります。ご了承ください。真空の他にフリーペーパーなどもご用意いたします。

 

≪価格≫

一部300円

 

文学フリマ東京

 

≪場所≫

東京流通センター 第一展示場(ABCDホール) S14ブース

 

≪日時≫

11月11日(土) 12時〜17時

当日分に限りがございます。

 

≪内容≫

 

① 連作

総勢11名の連作を掲載しています。以下では各連作から三首ずつ引いて紹介していきます。

 

『62日目』橋下チヲル

いきもののかたち静かに腐りゆく今日もいい日になりますように

死んだあとめだかは灰になるかしら火の粉が爆ぜる様を見ていた

駅ビルの端から耐えきれないように夜が崩れてゆく街に居る

 

夏音』鈴音

カラカラと氷の音をたてながら影に隠れる小さなからだ

鼓動さえお祭り騒ぎ 鬼太鼓 祭りやぐらに赤い提灯

八時半 滲む汗さえ吹き飛ばす三尺玉の響き確かに

 

『「おもういちねん」』さんずいそう

巣立ちの日今こそ吹かせ春一番さよならなんて言わせはしない

身を縮め花びら肩に探してる見慣れた名より見慣れたい名を

ゆく年が振り向き見せた面影をきっと明日も変わらず想う

 

『あるありきたりな一日』杏実

玄関の窓に微笑む一瞬は私のための小さな魔法

洗剤を買い忘れたと思い出す問の答えは思い出せずに

夕暮れの疲れた電車の中にある家族のための小さな希望

 

プラネタリウム』春野咲

少しでも高いところへ六階の化学劇場 星々が降る

伸ばしても届かないからあの空は飛び立つ場所ではないのだと知る

人工の輝きでもいい 願うとき目の裏に浮かぶ光であれ

 

『正しく愛すということ』雨宮

触れることができない愛もある 人魚は触られたら火傷する

永遠の愛が叶う鐘があるあの町は戦わないで皆死んだよ

蓋をする錘を乗せる目を瞑る今日も正しく君を愛すよ

 

『縦糸 横糸 盆風景』和生

ご先祖を提灯をもちお迎えに

縦糸横糸遡って

同じこととぼけた顔で聞く祖母に 前より態度あたたかな祖父

祖母の父二枚の写真軍服で

私に繋がる彼の縦糸

 

明晰夢をみるにあたって』芒川良

地下室の響きの良さの実際に閉じ込められるまでの気持ちだ

夜を敷き詰めたあなたの目尻から垂れていく情動の彗星

明晰夢を見るにあたって ??? ライターの仕組みも調べればわかること

 

『四季』なほ

古ることの主人もあらぬ梅の花は春告鳥の声を待つのみ

春過ぎて干さるる吾が布団ふとまどろみにける日香るまに

凍て寒し木枯らし吹きて震えつつカイロを握りポケットにin

 

『二〇二〇年の里帰り』服部比呂美

この家の廊下の艶をそのままに介護施設の母は七年

糊付けを剥がして使う箱ティッシュ認知症とはそういう病

高校の合唱部ではソプラノの名手だったと本人の弁

 

『詠み人知らず』参議聖

古墳

大君は神にしませば土形の時に習ひて人を成りせば

安土・桃山

死にたもふ君主無き世に残る身に夢幻の主語りき

令和

マジ卍 タピオカラテしか勝たんけど彼ピ推したる自撮りに🥺

 

②エッセー+一首

それぞれがエッセーを書き、それにまつわる短歌を一首作り添えています。

『我が未到の地』雨宮

『お彼岸に寄せて』ノエル

『普通になれない私たち』わたなべりょう

『私のまものの話』参議聖

『meisekimu』芒川良

 

③いちごつみ

前の歌から「一語」を摘んでそれを詠み込んでいくリレー形式の連作を、3グループに分けて作成しました。それぞれ「真空」から始めています。

『深呼吸』芒川良,さんずいそう,田代凌,杏実

『回想録』和生,なほ,ノエル,ひすいくも

『逃避』橋下チヲル,春野咲,桜湖,雨宮

 

 

國學院短歌学祭号『真空』は実に5年ぶりの発行となり、部内にノウハウがほとんど残っていない状態でしたが、会員一人一人の協力でなんとか形にすることができました。贔屓目を抜きにしても、いい本に仕上がっていると思います。今回は学祭のほか文学フリマでも頒布いたしますので、学外の方もぜひ手にお取りください。

また会員の自選一首をまとめたフリーペーパーも配布する予定ですので、そちらも合わせて楽しんでいただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。